ダイヤモンドの未来
お店を出ると、すぐ近くにエレベーター。

これから、先生のうちに行くと思うと緊張する。

エレベーター前で、

「足、大丈夫?」

と突然聞かれ、

「はい。」

と答える。

このモールは、1~3階がお店で、4~6階が駐車場。3階に映画館とレストラン街があった。今日は5階に車を停めた。エレベーターに乗り込むと、女子高生が3人乗っていた。

すごいな生足。上はコートとマフラーなのに、膝上のスカートと黒のハイソックスの間の、寒いせいか少し赤みがかった、パチッとピチッとした太ももがまぶしい。絶対領域とか言うんだっけ。

3人の視線が、先生に注がれたのが分かる。
隣が私でごめんなさい。
ズボンだし…スニーカーだし。

女子高生とは逆側のエレベーターのボタンの前に先生、その横に私。6階のボタンが押されていた。

あれ、先生、5を押し忘れてる。

横から手を伸ばそうとすると、その手をつかまれて、

「これ行こう。」

と小さくささやかれ、壁に貼られたイルミネーションのポスターを視線で促される。

エレベーターの中では話しにくいから、こくっと頷くと、もう片方の手で頭をポンポンされて、女子高生が目を見開いて顔を見合わせたのが分かった。
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