ダイヤモンドの未来
「薬局長。」

ちょっとにやっとしながら呼びかけると、

「澤田先生、おつかれさまです。」

と向こうも白々しく返してきた。

「泉川さんは?」

「あー、具合が悪くて定時で帰った。」

小林さんなら信頼できる。ばらすことを決めた。ごめん、香江、ばれないようにすると言ったのにと心の中で詫びる。

「風邪ですか?」

「うん?そういうことか?」

からかうような笑み。

「そういうことです。内密でお願いします。」

開き直った俺。香江がいなければ、代わりに薬のことを聞かれると思っていただろうが、俺が問いかけたのは香江の症状。相変わらず勘がいい。

「俺が、愛から移された風邪を薬局でばらまいちゃって、大流行中なんだ。」

「あー。」

愛というのは、小林さんの小学生の愛娘。そういえば、香江が、スタッフが風邪で交代で休んでいていそがしいと電話で言っていた。

< 260 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop