ダイヤモンドの未来
「熱ありそうでしたか?」

「たぶん。」

香江からは、週末は研修だから会えないとメールが来ていたが、違和感の正体に納得した。二日連続の研修なんて、なかなか突然入らないだろうと。しかも、一度は週末会うことを了承していたし、香江は予定をきちんと管理していそうだ。

「聞いてないのか?」

にやにや笑われる始末。

「急遽、土日に研修としか。」

「研修はたぶんないな。」

確定だ。開き直って問いかける。

「薬、持って帰りましたかね?」

「帰るときは何も持ってなさそうだったし、赤い顔をしてたから、具合悪いのかと聞いたら、風邪引いたみたいだって言ってたな。医者嫌いだからな。」

医者嫌いに強いアクセント。
否定も肯定もできない俺。
香江の足を診ろと小林さんにも言われたしな。今回、少なくとも俺は処方はしていない。他の医者や内科にかかるとは考えにくい。

「まぁ、あの医者嫌いのオペをしたんだからな。俺の後輩のこと、よろしく頼むよ。」

「はい。どの薬がいいと思いますか?」

俺は、自分の電子カルテを呼び出した。自分用に処方して持ち帰るつもりだ。

「うーん、俺はこの系統の抗生剤を途中から飲んだけど。他のスタッフが何を飲んだかまでは…。おっ、ちょうどいい。」

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