ダイヤモンドの未来
「海藤先生、おつかれさまです。」

蒼介も小林さんとは飲み仲間。

「おつかれさまです。」

と形式上は答えた。

「先生、うちのスタッフ、何人か診たよな。どの系統がいい?」

俺の開いたパソコン画面に目を向け、カルテの名前を確認し、俺を見る蒼介。

「俺じゃない。」

その一言で通じたはずだ。蒼介は当然、俺達が付き合っていることを知っている。

「これかな。」

と選択されているのと同じものを指し示した。

「喘息とかあるのかな?」

「聞いたことはないけど、確認しておく。」

「もし、呼吸器系に何か持ってるようなら、気をつけた方がいい。かなり咳がひどくなる。」

「分かった。ありがとう。」

「それにしても、似てるな。」

「うん?」

「風邪、隠されたってことだよな。」

「あー。」

今はナースステーションには誰もいないが、看護師達の座るテーブルを見る蒼介。夜勤帯の看護師はケアにベッドサイドに行っている。今日の夜勤のひとりは真美だ。蒼介も当直らしい。真美と香江が似ているということか。

「先生達頼むよ。どうせいそがしいんだろうから、具合が悪いときと、金くらい役に立ってやってよ。」

小林さんの、最も過ぎる指摘に、蒼介と顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。

「じゃあ、薬を用意したら、持ってくるから。」

と小林さんは、処方箋を持って戻って行った。

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