エターナル・フロンティア~後編~
「……そうね」
気が重いのか長い溜息を付くと、長い話になるということでソファーに腰掛けるように勧めてくる。レナの勧めに先にソファーに腰を下ろしたのはユアンで、一拍置いた後にソラが続く。
「どこから話せばいいのかしら」
「最初から……が、宜しいのではないでしょうか。この件に関しては、思った以上に根が深いと僕は考えています」
「流石ね」
「いえ、それほど」
「でも、何故――」
「貴女に、その言葉は似合わない。いや、そのような言葉を発していいものではないでしょう」
今、プロジェクトの概要を話すことができるのは彼女しかおらず、自分の手で作り出してしまったソラを目の前にしてまで、隠し通せるものではない。また、ユアンが指摘したように、レナはその権利を持っている。
不適な笑いと共にユアンは、動揺を隠し切れないレナの心情を揺さぶっていく。刹那、レナの身体が小刻みに震え出す。完全に嵌められたというべきか、ユアンと共にソラが訪れるとはまさに予想外。
だからといって、意思を持った一人の人間を生み出してしまったというのは消すことのできない事実。そして人間の手で人間を生み出したというおぞましい現実にレナの贖罪の気持ちは強く、あのプロジェクトを思い出しただけで心をきつく強く締め付けてくるのだから。
「恐ろしいわ」
「恐ろしい?」
「……貴方よ」
「僕は至って普通です。寧ろ、異常を異常と思わない現在の状況の方が、恐ろしいのではないでしょうか。所詮、人間は誰かを蔑ろにし見下さなければ、生きていけない生き物ですから」
確かに彼が言うように「異常を異常と思わない状況」に寒気を覚えるが、それを上手く利用し自分の出世に繋げているユアンの方が恐ろしいとレナは思う。彼にとって倫理観は問題なく、自分を取り巻く現状を上手く読み生き抜く。また、結果を出すのだから天才的だ。
年上で人生経験が豊富のレナを手玉に取るのも、この点が関係しているのだろう。額にねっとりとした汗が滲み、蚤の心臓の持ち主であったら現在の状況に耐え切れず気絶していた。しかしレナは意識を保ちユアンとの会話を続けていくが、彼女の声音は普段と違っていた。