エターナル・フロンティア~後編~
力を持つ者の外見は両親の外見を受け継いでいるので、見分けが付かない。しかし遺伝子の構造面で判断した場合、力を持たない者と決定的な差が生まれ、特に物質面の破壊に繋がる力以外に身体面の治癒力の違いが目立つ。その面が、知識を持つ者の好奇心に火をつけた。
治癒力の強化は、人類が生きていく上で絶対に避けられない要素。持ち合わせている治癒力が高まれば、病気と怪我を恐れず生きていけるからだ。だが、治癒能力の強化が病気と怪我だけの改善に繋がるものではなく、どのようなモノもいい面と悪い面が存在してしまう。
代表的に上げられるのが、権力者が抱く野望と願望。女性は美を求め男性は永遠に近い寿命を求めるものだが、どのように足掻いたところで寿命と老いを迎えるのが生き物の定め。
しかし遺伝子構造の面での違いと高い治癒力を持つ者の研究で、長年の夢が叶うのではないかと権力を持つ者は期待した。だから、研究や実験の出資者の多くがそのような人物が集まった。
「それは知っています」
「貴方も以前、其方の研究を?」
「いえ、権力者の考えなど同じようなものです。しかし、それが可能になったという話は聞きません」
「生身の肉体……限界があるのよ」
ユアンとレナが話したように、時間と金をつぎ込んでもたいした成果が出ていない。人類の科学力が追いついていないというわけではなく、自分達が持つ科学力に生身の肉体が耐え切れないのだ。
そもそも、個人的な事情で遺伝子配列を弄くっていいものではない。遺伝子はあらゆる面に影響を齎し、誤った場所を弄くれば肉体に多大なる影響を与えてしまう。確かに研究と実験で理論上の永遠の美と不死は可能となっているが、いざそれを実行しても思った成果が出ない。
与えられた寿命が来ると、個々の細胞が崩壊するようにできているのか。非現実的で論理的な解釈ではないが、数々の失敗といい結果が出ない昨今、そのような言葉が出てきているのも現実。
だからといって簡単に諦められるものではなく、何が何でも可能にして欲しいと彼等は願い資金を提供する。ユアン側にすれば資金を提供してくれば何も言わず、自分達も研究や実験できると満足する。
両者の思惑が一致しているからこそ今の状況が続いているのだが、研究や実験の対象とされている側の意見は完全に無視されている。所詮、人類から迫害されている者――このような面で役に立てているのだから寧ろ感謝して欲しいと、生暖かい一個の物体として扱う。