エターナル・フロンティア~後編~
いや、別の言い方をすれば「発展の為の多少の犠牲」というものか。しかし「多少の犠牲」というのには数が多過ぎ、何より動機が不純。老いと死という自然の摂理に逆らう、子供の我儘だ。
そしてもう一方で、彼等の力を別の方法で利用する計画も生まれた。その者達が目を付けたのは彼等の遺伝子構造ではなく、彼等が本来持っている「力」そのものだった。通常の者が持ち得ない力は高い殺傷力を有し、相手の存在そのものを消し去ることが可能だった。
一昔前に流行った物語から引用すれば「超能力」と、表現するべきか。その力は人類が作り出した武器に匹敵する力を持ち、その武器を持つ者と対等に――いや、時に相手を圧倒する。
それがわかれば、どの時代も結論は変わらない。彼等の力を軍事に利用し、自分達に都合のいいように洗脳する。また、今以上の力を求め彼等の身体を研究し、力を高める薬を作る。
結果、此方の面でも多くの犠牲者を生み出す結果となってしまう。年々投薬される薬の濃度が濃くなり、投与される側の命を確実に縮めていっている。また、大量に吐血し命を落とす。
「……見境がない」
「どのような者であれ、それが自分の身に降り掛からなければ相手の苦痛など理解できません。また、相手が苦痛に呻く表情が内に存在する歪んだ部分を刺激するのでしょう、実に愉快に行なっている」
「私は――」
「博士は、罪悪感を持っている。しかし、全てがそうとは限りません。ですので、今も続いています」
正論を述べていくユアンに、レナは反論のタイミングを見失う。本来体験しなくていい裏の部分を体験してしまうと、その甘美な一面の虜になってしまい抜け出せなくなってしまうもの。それは官能的であり刺激的であり、彼は「これこそ内に存在する歪んだ部分が関係する」と、言葉を付け加えた。
「博士が参加していたプロジェクトの発端ですが、僕の考えでは「やり過ぎ」が、切っ掛けでしょうか」
「……そうね」
「ああ、当たりましたか」
勘がいいというより鋭過ぎるユアンの言葉の数々に、本当はプロジェクトの真相を知っているのではないかとレナは疑念を抱く。だが彼は相手をおちょくる面を持っているが、こういう場面では決して嘘は付かないということを知っているので、この疑念は取り越し苦労と自分に言い聞かせる。そして口を開き、ソラの基となった少年に付いてゆっくりと語り出した。