エターナル・フロンティア~後編~
アレクとソラが自身の目の前から姿を消した時、レナは彼の言動と態度を前々から理解していたので他の者達と違い取り乱すということはでず、見知らぬ土地で彼等が幸福な人生を歩んでいることを切に願っていたのだが、与えられた運命は非情でそれが叶うことはなかった。
再びソラは目の前に現れ、彼を連れ去ったアレクは殺害されてしまう。それも、知っている者達の手で――レナにとってアレクは気が合った仲間という関係で、彼が死んだと知った時、心を抉られた。
ああ、何故。
しかし彼女の言動は、愚問といっていい。プロジェクトに参加している者ならソラの重要性は認識しており、仲間を犠牲にしても取り返さないといけない。
いや、裏切ってソラを連れ出した時点でアレクは裏切り者の烙印を押されているので「仲間」という表現は当て嵌まらない。だからかつて同僚と呼んでいた者を殺害しても、何ら抵抗も無かったのだろう。
「……ソラ君」
「はい」
「一緒に奥へ」
ユアンの前で話せないことを話そうとしているのか、レナはソラだけを建物の奥へ呼ぶ。自分だけ仲間外れにされたことにユアンは、どうして自分だけ連れて行かれないのか尋ねる。
彼はこれくらいのことで不満を募らせる性格ではないが、何か重要な内容を話すと勘が訴えかけてきているのか、好奇心が擽られる。だが、珍しく今回は勘が外れ、確かにレナはソラの養父アレクに付いて話すのだが、その内容はユアンの好奇心が満足するものではない。
だからといって、明確な回答を提供しないとユアンが納得してくれるものではない。レナは溜息を付いた後、一言「ソラ君の養父の話」と言い、ユアンに諦めてもらうことにした。
「そうでしたか」
「だから……」
「わかっています」
ユアンが諦めてくれたことに、レナは安堵感を示す。これからソラと行なう話は完全にプライベートそのもので、ユアンが聞いていいものではない。それにソラの出生の秘密同様に、重い話だ。
レナはソラを連れ、建物の奥へ向かう。その途中、トコトコという音を鳴らし建物の中を探索していたリオルが姿を現す。大好きな主人の姿を発見したことに嬉しさが込み上げてきたのか、リオルは可愛らしい声で鳴くとソラの足下に向かって駆け出し、身体を擦り付けてきた。