エターナル・フロンティア~後編~
足下でモゴモゴと動いているリオルに気付いたソラは両手で掴み胸元で抱き締めると、画面に映っている人物が自分の養父だと説明していく。しかしそれが更に感情を刺激してしまったのか、喉が詰まり言葉が擦れてしまう。また涙で視界が滲み、養父の顔がぼやけだす。
主人を心配するリオルは右前脚で主人の頬に触れると、首を傾げつつ切ない声音で鳴く。リオルは主人の変化を敏感に感じ取ったのか、相棒の心遣いにソラは口許を緩め笑い掛ける。
「大丈夫だ」
自分を心配してくれる相棒にそのように言葉を掛けるが、ソラの表情に明るさは戻らない。これ以上リオルを心配させてはいけないと懸命に涙を止めようとするが、感情のままに溢れ出している涙を止めるのは難しい。それどころか、止めようとする感情が涙腺を刺激する。
『……ソラ』
アレクが我が子の名前を呼ぶ。自身の名前を呼ぶ養父の声音にソラはリオルを抱き直し視界を滲ましている涙を袖口で拭うと、画面に映し出される養父に視線を合わす。アレクが語るのは、我が子の思い出と自己の感情。そして、何も残してやれなかったことを詫びる言葉。
『周囲が何と言おうが、私は気にしていない。血が繋がっていなくても、本当の親子になることはできる。それが、私とお前の関係だ。そして、私の願いはただひとつ。それはお前の幸せだ』
アレクは、言葉を続けていく。自分達の手で生み出してしまったことを恨んでいてもいい。また、自分の行為が罪滅ぼしだと思っていてもいい。だけど、これだけはわかっていてほしいという。
愛している、と――
無償の愛というのは、こういうことをいうのか。改めて知った養父の愛情に、ソラは泣き崩れてしまう。今まで我慢してきた感情が養父の言葉で一気に溢れ出してしまったのか、流す涙と共に嗚咽を繰り返し、また時折苦しそうに咳き込む。それでも、彼の泣き声は続く。
部屋の外まで響くソラの泣き声で、レナはアレクが我が子に何を残したのか悟る。彼女は痛む胸元に手を当てると、あの時アレクと共に仲間を裏切っていたらどうなっていたのかと思うが、今とは違い当時のレナはアレクと共に仲間の前から姿を消すという大胆な行動は取れない。
それは自分が就いている地位を大事に思い、失うのを恐れていた。高い地位と強い発言力を捨て去るのは惜しく、それを捨てるのを惜しいと考えていた。だが、自分が行っていたことに引っ掛かりを感じていたのか、仲間を裏切るというアレクの大胆な行動を見て見ぬふりをした。