エターナル・フロンティア~後編~

 アレクと同じ若さ故の行動を取ることができれば、どれだけよかったのだろうか。ソラの泣き声に、レナの頬に一筋の涙がこぼれ落ちた。それを遠巻きで見ていたのは、無表情のユアン。彼は暫くレナの姿を眺めていたが、空気を読んだのか声を掛けずに立ち去っていた。


◇◆◇◆◇◆


「もういいの?」

「はい」

 相棒を抱き部屋から出て来たソラに、レナは言葉を掛ける。彼女から手渡されたディスクの中身を見たことにより養父の気持ちを知ったソラは、目を泣き腫らしていたが何処か清々しさが感じられ笑顔を浮かべていた。また、捨てずに取っておいてくれたことを感謝する。

「これは、貴方宛の物。だから、私が勝手に捨てていい物ではない。それに、私もあのプロジェクトの参加者で貴方を生み出した者。だから彼が何を残したのか、全てはわからないけどある程度は予想できるわ。それを捨てたら現実逃避になってしまい、彼に申し訳ない」

 あれは仕事の一環なので仕方がない。そのように自分に言い聞かせることができれば、これほど苦しむことはしない。しかしレナの精神は繊細で、上手く流せるほど器用な人物ではない。だから退職後も苦しみ続け、どうしてあのような人生を歩んでしまったのかと今も後悔している。

「これは、お返しします」

「あげるわ」

「いいのですか?」

「元々、貴方に宛ててアレクが残したものだか。それに貴方が持っている方が、喜ぶでしょ」

「有難うございます。養父(ちち)との思い出がありましても、養父自身が映っている物がなくて……」

「いいのよ。これを貴方に手渡せて、ホッとしている部分があるから。それに、これで……」

「どうしました?」

「いえ、なんでもないわ」

 最後まで言葉を発せず途中で言葉を止めてしまったレナの不可解な行動に、ソラは彼女が話すことのできない秘密を抱えていると見抜く。何を隠しているのか問い質したところでレナが話してくれるわけもなく、それどころか問い質してはいけないという雰囲気があった。
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