エターナル・フロンティア~後編~
「さあ、行きましょう。彼が首を長くして待っているわ。遅くなっては、彼に何かを言われてしまう」
「そうですね」
「彼には、何も言わない方がいいわ。下手に話してしまうと、彼の好奇心を疼かせてしまう」
「……ですね」
「だから、気を付けて」
無理矢理作ったかのようなぎこちない笑顔を作ると、再度レナは急ぐように促す。彼女の後を追うように歩くソラは、小さく曲がった背中に視線を向けつつ彼女の心情を探っていくが、思い付くのはいい印象を抱く内容ではなく全てが悪い内容といっていいものだった。
「ソラ君」
「何でしょうか」
「貴方は先に……」
「何かあったのですか?」
「違うわ。新しいお茶の用意をしようと思っただけよ。あれから大分時間が経っているから、冷めてしまっているわ。飲むのなら、温かい方がいいでしょ。それと、お菓子も用意するわ」
普段のソラであったらレナの言葉に違和感を抱かなかったが、先程から感じる強烈な不安感にソラはレナの言葉を受け入れるのを躊躇ってしまう。だからといって彼女を全面的に信用しているわけではないので、ソラは拭いきれない不安の中彼女の言葉を受け入れていた。
「一人か?」
「温かいお茶と菓子を用意すると言っていましたので、もう暫くしたら戻ってくるでしょう」
「そうか。で、何かあったのか?」
「貴方に話す内容ではありません。それ以前に、これに関しては貴方に話したいとは思っていません」
「悪い内容か」
「どうでしょう」
共にレナの自宅を訪れた時のソラとは異なり、今の彼は内に抱えていた迷いが吹っ切れたのか瞳に生気が戻っている。レナが迷いを打ち払う“何か”を彼に与えたのは間違いないとユアンは簡単に見抜くが、流石のユアンでも彼女が与えた“何か”までは見抜けないでいた。