エターナル・フロンティア~後編~
レナの予想通り、何をしてきたのかとユアンが食い付いてくる。だが、彼に安易に情報を与えるほど彼に高い信頼を置いているわけではなく、またディスクに納められているのは養父との大事な思い出。だから好奇心で探っていいものではなく、寧ろ触れて欲しくなかった。
他の者と違い多くの面で協力してくれることに関しては感謝しているが、今回は口をつむぐ。ソラはレナから手渡されたディスクが納められているポケットに手を添えると、全身で拒否反応を示した。
それが無意識のうちに力の発動の切っ掛けとなってしまい、ユアンの肉体を傷付ける。幸い彼が負った傷は浅く出血も少なかったが、力の発動は予想外だったらしく苦笑していた。
「力の使用は控えた方がいい」
「わかっています」
「だが、いい力だ」
「そのように褒めても、内容を話すことはいたしません。それとこれは、別問題になります」
「そう思ったのか?」
「貴方ですから」
それは厳しい言い方であったが、ユアンの性格を考えれば的を射た意見といっていい。それに相手に褒め称えられても養父との思い出を語るわけにはいかず、ソラは胸の中に仕舞う。
「しかし、君の気が晴れたことは喜ばしいことだ。力の威力は、精神面に左右されるからな」
「でしたら、聞かないで下さい」
「ああ、そうだな」
ソラは、曲者のユアンの言動が理解できなかった。何故わかっていながら、敢えてあのようなことを言ってくるのか。その結果、自分の身に危険が及ぼうが関係ない。だからこそ共に働いている者は、彼に一目置く。
ユアンは血で滲む手をハンカチで拭うと、ソラの心情を揺さ振る言葉を放つ。「己の力を自由に使いたくないか?」それはユアンにとって何気ない言葉のひとつに過ぎないが、日々己が持つ殺傷能力が高い力との付き合いに悩まされているソラにとって衝撃的な言葉といっていい。
「オレは……」
完全に、ユアンの話術に嵌ってしまった。それは嫌でもわかっていたが、彼に抗う術は持ち合わせていない。確かに、自由に力を使用できたらどんなにいいものか。しかし、それは望んではいけない。それに欲望のままに力を使用してしまったら、築き上げてきた関係が崩れ去る。