エターナル・フロンティア~後編~

 それは思った以上の効果を齎し、寸前のところでユアンの策略を潰した。だが、これくらいのころでユアンが諦めるわけがなく、知能が高い頭をフル回転させれば別の計画が練り出される。

 ユアンは、自分の知能に自信を持っていた。持っていたからこそレナの邪魔は腹立たしく、大人気ない一面を曝け出す。「冷静に――」そう自分に言い聞かせると、ソラを守るようにベッタリとくっ付いている邪魔者のリオルに笑い掛け、鋭い切っ先に等しい殺気を放った。

 殺気を受け取ったリオルは、キャンっと一鳴きすると両耳を垂れつつソラの身体に顔を埋める。また相当の恐怖を味わったのか、尻尾がだらりと垂れ身体を小刻みに震わせていた。

 小者が。

 ユアンは、リオルが気に入らなかった。何故、弱い者がムキになって強い者に歯向かってくるのか。返り討ちに遭うのをわかっていながら、リオルは立ち向かってくる。

 それが目の前を飛ぶ蝿のように煩く、できるものなら全力で叩き潰したかった。強い者に歯向かってはいけない――それを教えるかのように、ユアンはリオルに殺気を放ち己の実力を示した。

「どうした?」

 怯えだしたリオルの身体を撫で、そうソラは問う。しかし相当の恐怖心を味わったリオルは震えるだけで鳴き声ひとつ発しない。それどころかソラの背中と背凭れの間に潜り込み、姿を消してしまう。

「躾がなっていない」

「貴方でしたか」

「代わりに躾てやった」

「だからって……」

「早い方がいい」

 そう言うとユアンは、レナが新しく用意した紅茶に手を付ける。何事もなかったかのような涼しい顔は彼の特徴そのもので、多くの者から「食えない奴」と言われる由縁。それをまざまざと知ったソラは、一時的であれ彼の話術に乗せられそうになった自分を責めてしまう。

 また、レナは背筋が凍り付く思いがする。彼は、プロジェクトの参加者のひとりである自分に真実を話す義務があると言っていた。それは自分もわかっていたからこそ真実を話し、残されたディスクを手渡した。

 これを理由に彼はソラと共に訪れたのが当初の目的だが、言動を見聞きしていると別に何かが隠されているのではないかと思いはじめる。自分がいる地位の自慢。それとも、全てを掌握しつつあることを伝える為。そして行き着いた結論に、レナは自分の言動の愚かさに気付いた。
< 27 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop