エターナル・フロンティア~後編~

 正直、ユアンと共に帰宅したいとは思わないが、専用のケースに入れられていないリオルと一緒では公共の乗り物に乗車できない。徒歩という選択がないわけではないが、寒い中での長時間の徒歩は身体に堪える。

 また、無理するとリオルの身体が弱ってしまう。選択をひとつひとつ潰した結果、残されたのはユアンから提示されたもの。全て彼の計画の通りに動かされているのではないかと思うが、寒い中で立ち尽くしているので身体が冷えだし、リオルもくしゃみを繰り返している。

「何を躊躇っている」

「言い方が、怪しいです」

「その状況でも怪しむとは……信頼がないのか。だが、安心していい。取って食ったりはしない」

「信じていいですか?」

「勿論だ。それに我を張れば張るほど、大切にしている子犬が弱っていくのではないのか?」

 可愛い相棒の身体を思い、ソラは彼の言葉を受け入れ従うことにした。別にユアンの言動に屈したというわけではなく、あくまでもリオルの体調を第一に考えた故の選択――と自分に言い聞かせるが、それが逆に「敗北」の二文字を強調してしまいソラの機嫌が悪くなる。

「時に、素直になれ」

「だから、貴方の言葉を受け入れました」

「そうだな」

 ソラのトゲが含む言葉を軽く受け流すと、彼が乗り込めるように助手席のドアを開く。そのやり方にソラは躊躇いの態度を取るが、寒さに負け震えだしているリオルの体調を優先する。

 乗り込んだと同時にユアンは助手席のドアを閉めると、自分も運転席に乗り込みエンジンをかける。暖房がつけられると温かい空気が車内の広がり、冷えた身体を優しく包み込む。

「大丈夫か?」

「オレは平気です」

「いや、犬の方だ」

「くしゃみをし、先程から震えが止まりません。風邪をひいていなければいいのですが……」

 冷たい身体を温めようとソラは上着でリオルの身体を包み、懸命にその上から撫でる。摩擦によって生じた熱が気持ちよかったのか、身体をくねらせ間延びした声音で鳴く。それでも身体の振るえは止まらず、本当に風邪をひいてしまったのかいつもの元気が感じられない。
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