エターナル・フロンティア~後編~
本当に、風邪をひいてしまったのか――リオルの調子が戻らないことに、ソラは焦りだす。そして早く震えが止まるようにと、上着の上から身体を撫で続ける。するとソラの願いが通じたのかリオルの震えが止まり、温かい温もりの中で欠伸を繰り返しうとうとしだす。
「大丈夫のようです」
「それは良かった。もし体調が戻らないようなら、病院に連れて行こうと思っていたが……」
主人以外を嫌い、他の者に向ける威嚇行為の数々。それだけの行動を行なわれたら、普通の人間であったらリオルを毛嫌いする。寧ろ、体調が悪くて清々しているというのが普通の感覚といっていい。
それだというのに、ユアンはリオルの身を案じ病院に連れて行こうとした。しかし相手は一癖も二癖もある人物なので、ソラはユアンの行動に疑問を持つことはない。それどころか大事な相棒の命を心配してくれた方を感謝し、囁きに近い声音でユアンに礼を言い相手を苦笑させる。
「心境の変化の経緯は?」
「……特に」
「犬が大事か」
「当たり前です」
「君にとっての相棒か……まあ、元気になったことは喜ばしいことだ。さて、君の自宅へ向かう」
ユアンはソラに言葉を掛けた後、車を出発させ大通りに向かう。ふと、ソラはユアンが自宅の場所を知っているのかどうか疑問を抱くが、ユアンのことだから個人情報も把握しているだろう。それに向かっている方向も間違っていないと、彼の運転にソラは身を任せた。
「ひとつ頼みがある」
「力の使用ですか?」
「違う。護衛だ」
「場合によっては、力の使用になります」
「それはないだろう。危険な場所に行くわけではない。ただ、頭の固い練習が集まっている」
「周囲が敵……ですか」
「そうだ」
余程鬱陶しい相手なのか、ユアンは自身を護って欲しいと頼む。だが、彼を疎ましく思い身に付けている能力に嫉妬している者が多いことをソラは知っているので周囲の反応はわからなくもないが、鬱陶しいものは鬱陶しい。だからソラを側に置き、自身の護衛とする。