エターナル・フロンティア~後編~

 ユアンは自分の目の前に邪魔者が現れた場合、ソラに力の使用の許可するに違いない。また、日々の研究によりひとつの命を奪うことも厭わず、自分の前に立ち塞がる存在を排除していく。

 レナの自宅でユアンが言っていた「己の力を自由に使いたくないか?」という言葉を思い出し、ソラの身体が震えだす。彼の頼みを受け入れ共に行けば、場合によっては力が使用できる。

 甘い誘惑と同時に思い出すのは、ユアンの義父を殺害してしまった時の光景。血で汚れた手と生暖かい血の感触は今も鮮明に覚えており、再びあれと同じことをしてしまうのではないかと恐れる。

 ユアンの義父の件はトラウマと化し、ソラの精神面を蝕む。それでも甘い誘惑は彼の理性を刺激し、いつもの冷静な判断ができない。しかし自分の進むべき道は自分で決定するもので、他人がどうこう口出ししていいものではないと言い聞かせ、彼の誘惑を撥ね退けた。

「そうか……残念だ」

「貴方は貴方で、強いはずです」

「握力では負ける」

「ですが、何でも器用にこなすと……」

「だからといって、全員に勝てるわけではない。特に、頭の固い奴等を相手にするのは厄介だ」

 そう言い途中で言葉を止めると、ユアンはソラの別の意味で気持ちを揺るがす発言をする。頭の固い連中が集まっている場所へ行くのは自分だけではなく、ソラの幼馴染のイリアも同行すると――

「どうして彼女が……」

「いけないか?」

「同行の理由がわかりません」

「彼女は頭がいい。だから、誘っただけだ。それに前々から、能力研究に興味を持っていた」

「イリアは……」

「幼馴染が共に行く。それでも君は、同行を拒否するのか? どうなっても知らないが……」

「脅しですか?」

「どう取っても構わない」

 ユアンは威してもなんでもないと言っているが、これを脅しと言わずして何を脅しというのか。それにソラとイリアがただの幼馴染の関係ではないと気付いているので、彼は「イリア」の名前を強調しソラに拒否権がないと言わんばかりの発言と共に、同行することを強要する。
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