エターナル・フロンティア~後編~

 ユアンが共に行くということで躊躇いが生じ、本音を素直に表すことができないでいた。これが幼馴染の誘いなら即答していたが、今回は相手が悪い。しかし結論は最初から決まっていたので、ソラは長い溜息の後「彼に言い包められたのではない」と言い聞かせ、口を開く。

 共に行く。

 ソラからの了承の言葉にユアンの口許が微かに緩むが、彼の声音は冷静そのもので「いい選択だ」と言いたいのか、適切な判断をしたことを褒め称えるが、ソラは全く嬉しくなかった。

「血は流したくないです」

「努力する」

「その言い方、引っ掛かります」

「此方が荒波を立てないように努力しても、相手が食って掛かってきた時はどうすることもできない」

 ユアンは冷静に受け流しているが、相手が食って掛かってきた時は、此方もそれ相応の対応をしないといけない。相手が食って掛かってくる原因のひとつが、相手の逆鱗に触れる言動を繰り返すという部分。ソラはその点を指摘していくと、痛い部分を突かれたのかユアンが笑い出す。

「我慢は身体に悪い」

「我慢?」

「一方的な発言は、精神に多大なる負担を掛ける。そのことは、君が一番わかっていると思うが? 相当、ストレスが溜まっているだろう。周囲から、心無い言葉を言われ続けているのだから」

「わかっているのでしたら、言わないで下さい。それに、現状を悲観してもどうにもなりません。批判したところでいい状況になるわけではなく、それどころか相手を増徴させてしまう」

「受け入れているのか。そうだな、受け入れるしかないか。それにしても、無知は厄介だな」

「貴方は?」

「無知と思うか?」

「……いえ」

「当たり前だ。無知であったら、この仕事を行なう資格はない。無知の者はもっと見聞を広めた方がいい」

 自分が持っていない力を持つ者を恐れるのは普通の感覚だが、それぞれの惑星(ほし)で発生する事件や事故の大半が、ソラのように力を持つ者が関わっているわけではない。ユアンに言わせれば無知の者の方が恐ろしく、一方的な価値観を他人に押し付けるほどおこがましいものはない。
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