エターナル・フロンティア~後編~

 ユアンは、以前イリアに話したことを話し出す。自分達が研究しているのは力の解明の他に、力に対しての正しい知識を広める役割を持っているという。酷い迫害を受けるソラに言わせればそれは「詭弁」そのものであったが、何故か彼等の行動に対し反論できないでいた。

 できるものなら、この力を捨て去り普通の者として生きていきたい。この力がなければ迫害を受けることもなく、イリアの両親からも冷たい目で見られないで済む。ソラはそう心情を吐露した後、力の消滅は可能かどうか尋ねるが、ユアンの回答はいいものではなかった。

「そう……ですか」

「願うのか?」

「可能でしたら」

「それは難しい。それに、君は他の者達と違う。科学の粋を集め、君を創り出したのだから」

「勿体無い……と」

「正直に言えばそうだ」

 本音と建前を用いず、自分の意見を言うのはユアンの特徴だが、今回は建前の方を用いて欲しいとソラは思う。しかし、彼が言うように「勿体無い」の意味はわからないわけではない。

 ソラの基になっているヨシュアは、稀に見る力の持ち主だった。そのクローンであるソラのあらゆる面の調査はユアン達にとって最重要課題で、好奇心が擽られる道具といっていい。

 ヨシュアのクローンと知っている者はごく一部。だが、彼等は高い力を持つソラに魅力を覚えるのかその力の解明しようと躍起になり、時に相手の身体を考えずに暴走し追い詰めていく。それを心の底から嫌うので、ソラは彼等の行動を批判し自己の抑制はできないのか問う。

「耳が痛い」

「自覚しているのですね」

「自覚はしている。しているが、部下達は違う。目の前のものに集中し、出世欲は人一倍高い」

「その言い方、許せないのですか?」

「いちいち、揚げ足を取るな。それに、部下達の出世を拒んでいるわけではない。誰も追い越せない」

 自分の地位を誰も脅かさない自信を持っているのか、ユアンの口調は力強い。周囲に敵を作ろうが関係なく、自分が考えた道を突き進む。足枷になるものを持っていないからこその強さに、ユアンがいつか全ての実権を握る日が来るのではないかと、ソラは未来を予想する。
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