エターナル・フロンティア~後編~

「博士」

 見兼ねたソラが、ユアンのもとへ行き行動を制する。威圧感を掛けられている三人に同情しているわけではないが、これ以上雰囲気を悪くしたくないので止めに入った。制されたことにユアンは当初は不満そうであったが、彼自身も三人に付き合うのを面倒と思いはじめたのだろう、素直に従う。

「悪かった」

「……いえ」

「イメージが悪いな」

「博士が怒らなければ、そのようなことはなかったでしょう。今回ばかりは、仕方ないです」

「言うな」

「本当のことです」

 ユアンは周囲の目など気にしない唯我独尊タイプだと思われたが、意外にも周囲の目が気になる人物だと知る。以前の自分の恋愛経験を話したがっていた時のように、血の通った生き物ではないかとソラは見ていたが、どうやらシッカリと暖かい血の通った人物のようだ。

 ソラの指摘に、ユアンは自分自身の行動を反省しているのか苦笑する。その笑い方に再び三人をいびることをしないだろうと確信したのか、イリアに声を掛ける。ソラの言葉にやっとこの雰囲気から解放されると思ったのだろう、イリアは安堵の表情を作り近付いてくる。

 しかし先程ユアンの裏の面を見てしまったので、戸惑いがないわけではない。イリアはユアンと目線が合った瞬間、失礼とわかっていながら視線を逸らしてしまう。彼女のつれない態度に複雑な心境だが、自分が裏の面を出したのがそもそもの原因なので何も言えない。

「博士、行きましょうか」

「そうだな」

「もう、二度と……」

「わかっている」

 なかなか歩みを進めようとしないユアンに、再びソラが促す。それに対しユアンは何処か情けない声音で返事を返すと、建物の外へ向かう。その一連に動作に周囲で目撃していた者達はこれで争いが終了したものだと考えたのだろう、それぞれが目的の場所へ歩いて行く。

 だが、油断している時こそ事件が発生してしまうもの。ユアンの殺気に怖気づいていた三人が、急に牙を向けてくる。どのように戦っても負けは確定しているが、それなら一撃でも食らわしたい。その覚悟でユアンに慣れない攻撃を仕掛けるが、簡単にやられてしまう。
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