エターナル・フロンティア~後編~
武器の扱いが得意の他に体術も学んでいるので、簡単に相手を伸してしまう。また、彼の隣にはソラもいるので、三人が望む一撃を食らわすどころか一瞬にして負けてしまった。周囲に響くのは、三つの重い音。打ち所が悪かったのだろう、その中の二人が苦痛に呻いている。
再び勃発した争いに、周囲の者達が気まずい表情を作る。中には攻撃を仕掛けた三人に対し「いい加減にして欲しい」という雰囲気を醸し出し、言葉ではなく態度で威圧していく。別に彼等はユアンに全面的に味方をしているわけではなく、ただ争いは御免被りたいのだ。
「暴力とは、落ちぶれたものだ」
まさか彼等が暴力を仕掛けてくるとは思ってもみなかったのだろう、ユアンは呆れている。一方ソラはこのような出来事は慣れているのだろう、いつもの冷静な態度を取り続け溜息を付く。イリアは三人の攻撃に動揺し、ソラの後方に隠れながら彼の服を強く掴んでいた。
三人の暴力的な行動に恐れを抱いているイリアを見たユアンは、ここぞとばかりに彼等を責め立てる。ユアンはイリアに自身のアシスタントを頼んだが、彼女は部外者。攻撃を巻き添えを食うべき人物ではなく、もし身体に傷が残ってしまったらどうするのかと非難する。
ユアンの正論に反論できないのだろう、三人の顔が歪んでいく。それでもユアンに負けたくないというのが、彼等の本音。しかしその行為は無意味そのもので、逆に惨めさを醸し出す。現在、彼等はそれ相応の地位に就いているので、決して悲観しなくていいものだが、それでも――
やはり、許せなかった。
だから内に抱いている感情が身体を動かし、ユアンに攻撃を仕掛けるという馬鹿な行動に至ってしまう。攻撃を仕掛けられたことで相手に憎しみを抱かないわけがないが、先程のソラの的を射た指摘で反省したのだろう、ユアンは彼等に言葉を掛けることなく立ち去っていく。
「博士」
「何だ」
「いいのですか?」
「殴っていいのか?」
「困ります」
「だからだ」
イリアを連れソラはユアンの後を追い、真意を問い質す。それに対し返ってきた答えというものは、まさに成熟した大人の意見そのもの。これを聞いたソラはこれでユアンが何も仕掛けないだろうと安心するが、問題は相手側。これで引き下がるかどうか、わからなかった。