エターナル・フロンティア~後編~
幼い頃は可愛らしい面立ちだったが、今のソラは容姿端麗の言葉が似合う面立ちといっていい。幼い頃の雰囲気を一部分残しているので別人とまではいかないが、大幅に変わったのは髪の色。当初は美しい漆黒の髪を持っていたが、度重なる薬の服用の影響か漆黒は白銀に変化した。
それに身体は細く殆んど贅肉がついていない理想的な体格だが、これもまた薬の影響でいくら食べても太ることができない身体になってしまった。女性にとって喜ばしく嬉しい体質だが、ソラの裏事情を知っているイリアにとって、羨ましいと思うことができないでいた。
「……ねえ、ソラ」
名前を呼んでも、相手は深い眠りに付いているので返事はない。現在、ソラは一体どのような夢を見ているのだろうか。幸い悪夢に魘されている様子は見受けられないが、尋常ではない悲惨な状況に置かれているので夢の中だけでも幸せになって欲しいとイリアは願う。
どれくらいの時間で、目覚めるのか。ユアンは明確な時間を言っていなかったので、ハッキリしない。それでもイリアはソラの体調が心配なので、彼が目覚めるまで側にいようと思う。それに目覚めるまで待っているのは苦にならず、それどころか離れた方が心苦しかった。
イリアは静かに、ソラが目覚めるのを待つ。一体、どれくらいの時間が経過したのか――窓の外は闇が覆い人工の明かりが闇の中に浮かぶ。薄暗くなった室内に明かりを灯そうと、室内灯のスイッチを押しに行く。ふと、その時ソラが呻き声を漏らしながら身悶えだす。
その声音にイリアは慌ててソラの側に行くと、身体に不調が出たのだろうと不安感を覚えるが、体調を崩したのではなく目覚める寸前であった。身体に溜まった何かを吐き出すように深呼吸を繰り返すと、目を覚まし定まらない視線を周囲に走らせ自分がいる場所を確認する。
「ソラ、平気?」
「……イリア」
「体調は?」
「手足が重い」
「ラドック博士が薬を投与したから、その影響が出ているのかもしれない。気持ち悪くない?」
「それは平気だ」
体調が安定していることを聞き、イリアは安堵の表情を浮かべる。しかしいくら体調が悪くないとはいえ、ユアンの話では効果が強い薬を投与しているのでベッドに横になっていないといけない。イリアは何か欲しい物があったら取りに行くと言い、ソラが今欲している物を聞く。