エターナル・フロンティア~後編~
「……水」
「うん。わかった」
ソラの頼みを受け、イリアは冷蔵庫から冷たく冷えたペットボトルを取り出し、ソラのもとへ運ぶ。ベッドから身体を起こしペットボトルを受け取ると蓋を開け、一気に喉の渇きを潤す。相当喉が渇いていたのか、瞬く間のうちに半分以上の水がソラの胃袋に納まった。
「どう?」
「有難う」
水が飲んだことで身体が落ち着いたのか、ペットボトルをサイドテーブルに置くと身体をベッドに横たわらす。現在、体調が落ち着いているとはいえ、この後何が起こるかわからない。イリアはユアンを呼んだ方がいいか尋ねるが、それに対しソラはいい表情をしない。
「いいの?」
「また、薬を投与されそうだ」
「いっぱい、投与されるの?」
「イリアは、知らない方がいい。知っていいことはないし、知ったところで気分が悪くなる」
意味深いソラの言い方に、イリアは薬の投与について尋ねていいものではないと気付く。ユアンがソラに薬を投与している時、心臓が激しく鼓動し鷲掴みにされそうだった。これを用としなければ安定しないことはわかっていたが、苦痛に顔を歪める表情が忘れられない。
「……御免ね」
「どうして謝る」
「前、ソラに力を見せてって強く言ったでしょ? だから……その……本当に、御免なさい」
「いいよ、別に」
強い力に対して好奇心を抱くのは、普通の感覚といっていい。しかしその強い力は力のない者に影響力を与え、時に殺傷能力を有する。だから力を持つ者は疎まれ迫害され、一方的にいわれのない言葉を掛けられる。だが、イリアは違う。好奇心を持っていたと、このように謝るのだから。
「……力は、怖い。いや、怖いというより恐ろしい。多くの人を巻き込み、不幸にしてしまう」
このような力を持っていなければ、幸福な人生を歩んでいたのかもしれないと思うと、切なさが込み上げる。自身の身に降り掛かった数多くの出来事を思い出したのか、ソラは身を丸め嗚咽を漏らす。強いと思っていたソラの変化にイリアは動揺を隠せず、ただ何があったのか尋ねるしかできない。