エターナル・フロンティア~後編~
「どうして、そのようなことを言う」
「ソラは、幸せになって欲しいの。うんん……幸せにならなくちゃいけないの。だから……」
「イリアは今、誰か好きな人はいるのか? オレに好きな人がいるのか、聞いていたが……」
「……うん」
「そうか。それなら、その人と一緒になった方がいい。幼馴染だからといって、縛られる必要はない」
「でも、ソラは側にいて嬉しいって言ったでしょ? やっぱり、私が側にいちゃいけないの?」
「それは、イリアが好意を抱いている人物がいると知らなかったから。だから、今は……違う」
二人は19歳の年齢と共に、お互い社会に出て多くの者達と接している。その中であらゆる性格を持つ者と出会い交流しているので、好意を抱く人物が出てきてもおかしくはない。また、プライベートを縛り合う理由も権利もなく、誰と付き合うのも自由といっていい。
そのことは、勿論わかり合っている。わかり合っているが、互いの間に漂っているのは気まずい空気。同時に二人の心の中に蟠る想いが強くなっていき、言葉がしどろもどろになっていく。張り裂けそうなほど膨らんだ感情は揺さぶりをかけ、彼等の感覚を刺激しだす。
これ以上、ソラの側にいたら気分や気持ちがおかしくなってしまう。そう感じたイリアは立ち上がり、彼の側から放れる。しかしその行動を拒絶したのはソラで、彼はベッドから慌てて起き上がると彼女の後を追い手首を掴むと、自分の側を離れないで欲しいと頼んだ。
「で、でも……」
「そうして欲しいんだ」
「だって、ソラは好きな人がいるんでしょ? なら、私よりその人のことを好きにならないと」
イリアは好意を抱いている人物がいると言ったが、その相手というのは昔から彼女の側にいる異性。だからソラの言葉は彼女の心をきつく縛り付け、感情をざわめかせる。苦しくて辛くて――叶えられないであろう想いを抱いてしまったことに、イリアは目元に涙が溢れ出す。
これ以上、我慢することはできない。イリアは大粒の涙をボロボロと流しながら、囁くような声音で想いを口にする。自分が好意を抱いているのは、ソラだということを――やっと抱いている想いを口に出せたことに安堵感を覚えるが、その次に襲ってきたのは激しい羞恥心だった。