エターナル・フロンティア~後編~
互いに抱いている想いは同じであっても、置かれている立場が関係を阻み続けてきた。それが今、互いの想いを口にし合い抱いている心情に気付く。二人は、一緒になることができない。一緒になってはいけない。世論は彼等の関係を認めることはないが、それでも二人は手を取り合う。
「……有難う」
「別に、イリアが礼を言うことじゃない。本当なら、オレが言わないと……だから、有難う」
「もっと早く、ソラの気持ちに気付けば良かった。そうすれば、こんなに苦しい思いをしなくて……」
「それは、オレも同じだ」
多くの異性が集まるアカデミーで学んでいるので、特定の誰かに好意を抱いているのではないかと考えていた。いや、その方がイリアにとって幸せじゃないかと思った。しかしイリアの告白を聞き、それが取り越し苦労と知る。同時に言葉で示したように、早く告白すればと後悔する。
それでも、やっと口にすることができた想い。イリアは身体を身動ぎしソラから一度離れると、今度は自分から抱きつく。突然の出来事にソラは目を見開くが、イリアから抱き付いてくれたことが嬉しかったのだろう、彼女の身体をそっと優しく抱き締め髪を撫でていく。
「……温かい」
「冷え性じゃない」
「ソラって、冗談を言うのね」
「いけない?」
「いけなくはないわ。その方が何倍もいいし、冗談を言ってくれる方が昔を思い出せるもの」
「昔?」
「昔のソラは、普通に冗談を言っていたわ。いつの頃か忘れてしまったけど、それから変わってしまって……今のソラも嫌いじゃないわ。だけど、変わってしまったことが悲しくて……」
ソラも自分がそのようになってしまった明確な時期は、忘れてしまった。忘れてしまったが、そのように変化したのは科学者(カイトス)によって様々な投薬と、人体実験をされた頃だということは何となくわかる。変わらなければ生きてはいけず、心を閉ざさなければ精神が崩壊する。
変化に至った理由をソラが静かに語りだすと、イリアは彼の強烈で信じ難い人生に心がきつく締め付けられる。自分が知らない世界で行われている想像し難い非人道的な行為の数々に恐怖を覚えたのか、イリアはソラを抱き締めている腕に力を込め彼の胸に顔を埋める。