エターナル・フロンティア~後編~

「イ、イリア」

「何?」

「い、痛い」

「ご、御免なさい」

 ソラから離れたくないという思いがそうさせていたのか、イリアはソラの身体を強く抱き締めていた。しかしソラにとってその力の入れ方は許容以上のものだったので、彼女と違い苦痛を感じてしまう。苦痛に呻く表情にイリアは反射的に離れると、素直に頭を下げる。

「……馬鹿力」

「違うわ」

「だ、だけど……」

 ソラに「馬鹿力」と言われたことに相当のショックを受けたのか、イリアは頬を膨らませてしまう。彼女は怒って頬を膨らませているのだが、ソラにとっては頬を膨らませている姿は可愛らしく映る。すると徐に膨らんでいる左右の頬を摘むとグイっと引っ張り、遊びだす。

「……ソラ」

「可愛いな」

「可愛いって……」

「どうした?」

「そうやって言われたこと……」

 面と向かってそのように言われたのがはじめてだったのだろう、イリアの顔が赤面してしまう。女の子なので好意を抱いている人物に可愛いと言われることは嬉しいが、同時に羞恥心が湧き出す。いつもと違うイリアの雰囲気にソラは微笑を浮かべると、そっと額に口付けをした。

 突然の行為に、イリアの顔が先程以上に真っ赤になってしまう。クラスメイトと恋愛について語り合うことが度々あったが、イリア自身明確な恋愛経験を持っていない。だから上手く話を合わせていても、内心は複雑でいつばれてしまうのではないかと不安感がいっぱいだった。

 彼女にとって恋愛は、想像の範囲。それがソラの告白によって現実となり我が身に訪れた今、頭が真っ白になってしまう。初々しい態度を見せているイリアの姿に今度はソラから彼女の身体を抱き締めると、そっと彼女の髪を撫でこれはこれで可愛いと言いイリアを動揺させる。

 ソラに抱き締められているイリアは緊張の頂点に達したのか、彼の腕の中で身体を硬直させている。それでもこうしていることが気持ちいいのだろう、抗う素振りは見せず彼に身を預ける。ソラは撫でていた髪に顔を埋めると、彼女の耳に届く程度の声音で囁き相手の反応を待つ。
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