エターナル・フロンティア~後編~
躊躇いというより羞恥心の方が強いのか、なかなか言葉を発することができない。それでも、長年積もりに積もった想いがやっと通じ合った相手。イリアの顔は時間の経過と共に赤みが増す、最終的にはこれ以上真っ赤にならないというほど赤く染まった中で返事を返す。
うん。
イリアが懸命に口にだしたのは、蚊が鳴くような声音。しかし互いに身体を密着させているので、イリアのか細い声音はソラの耳に確実に届く。彼女が必死になって応えてくれた気持ちにソラは抱き締めている腕に力を込めると、これを受け入れてくれたことに対しての感謝とする。
「……ソラ」
「うん?」
「有難う」
「……ああ」
誰かに愛され好かれることは、女にとって最大級の幸せといっていい。それを手に入れたイリアにとって、何が何でも手放したくない。アカデミーで、クラスメイトが恋人との関係について語っていたことを思い出す。あの時は他人事のように捉えていたが、今は――
これが、幸福。
それを今、実感する。
◇◆◇◆◇◆
愛は語るもの。
それとも――
イリアは恋愛に疎い方ではないが、だからといって経験が多い方でもない。初恋の相手がソラで、正式に付き合うのはソラ以外はじめて。一時期ユアンに恋愛に似た感情を抱いていたが、それは本当の恋愛ではなく高い知識と技術を持つ人物に対しての憧れといっていい。
イリアはまどろみの中で、ソラとの出会いを思い出していく。どのように出会い、どのように遊んでいたのか。そして何を切っ掛けに、相手に恋愛感情を抱いたのか。何年も前の出来事なので明確に思い出すことはできなかったが、ひとつひとつはいい思い出になっている。
カーテンの隙間から差し込む眩しい陽光が、イリアの顔を照らす。あまりの眩しさに身動ぎし、微かに目を開く。まどろみの中で視界に映り込んだのは見慣れない天井であったが、ユアンが支払ってくれるホテルに泊まっているので見慣れている自室の天井と違うのは当たり前。