エターナル・フロンティア~後編~
純粋な心の持ち主は、そのような世界に行ってはいけない。だからソラは、イリアは目標としている世界へ言ってはいけないと言い続ける。イリアは今の世界で生きるのが一番で、現在行なっている研究を行っているのがいい。それが、ソラにとっての願いでもあった。
ソラの懇願にイリアは、何も言えなくなってしまう。彼女が能力研究の道に進もうとしているのは、能力者(ラタトクス)の身体の構造を理解すれば、ソラの手助けになることができると考えたからだ。しかし彼女の心遣いは有難く嬉しいことだが、血に塗れた彼女を見たくないのが本音。
「もし、あの世界を知りたいというのなら、タツキに聞くといい。彼女は、副主任まで勤めた」
「タツキさんって、偉かったの?」
「あのまま辞めないでいたら、高い地位に就いていたかもしれない。だけど、タツキは全てを捨てた」
「タツキさんは、何をしていたの?」
「それは、オレの口からは……本人に、直接聞いた方が早い。ただ、話してくれるかわからないけど」
忘れた過去というより、忘れ去ったというべき過去。タツキにとって能力研究を行っていた時期は、選択の過ちといっていい。自分自身の力を試したく望んで進んだ世界なのだが、退職時に残っていた感情は後悔の二文字。それに彼女が見たのは暴挙と狂気の世界だった。
「聞いてみるわ」
「平気か?」
「ソラの話を聞いていると、正直怖いと思うわ。でも、知らないというわけにはいかないわ」
「……御免」
「どうして、謝るの?」
「オレが、能力者じゃなければ……」
「そんなことはないわ。力があることが、悪というわけじゃないわ。それに、ソラは優しいもの」
「オレは、優しくないよ」
「ソラは、優しいわ。だって、私の我儘を……」
「自覚しているんだ」
何気ない一言にイリアは頬を膨らませると身を捩り、ソラと向かい合う。そして酷い一言に反撃するかのように彼の胸を拳で叩くと、子供っぽい一面を見せる。彼女の可愛らしい反応に当初は笑って済ませていたが、流石に叩かれることに限界を感じたのだろう行動を制した。