エターナル・フロンティア~後編~
「起きようか、ユア……ラドック博士を待たせるわけにはいかないし。結構、時間に煩いよ」
「……うん」
「どうした?」
「ソラが、先に……」
「うん? ああ、そうか」
イリアが何を言いたいのか理解したソラは、彼女の言葉に従うかたちで先に起きることにする。彼女にとって、現在の状況は気恥ずかしい。しかしクラスメイトの大半は同等の体験を既にしており、早い人は本当に早いというのだから何とも表現し難い気持ちが湧き出す。
その証拠にソラがベッドから降りると同時に、イリアが彼の姿を見たくないと枕に顔を埋める。彼女の初々しい態度にソラは苦笑すると、椅子の背にかけてある服を持ち部屋の奥へ向かう。ソラが奥へ行ったことを音で確認したイリアは枕から顔を上げると、溜息を付く。
勿論、ソラと恋人同士になれたことは嬉しいが、直面するのが避けられない現実。それにソラは自分が能力研究を行なうことに反対し、タツキに詳しい話を聞いた方がいいと言っていた。ソラは多くを語ろうとしないので、やはりタツキに直接聞いた方がその世界を知ることができる。
だけど――
何故か、恐怖心が強まる。
改めて知る、能力者と共に過ごす現実。だからといってソラと別れる選択はできず、ずっと彼を慕い続けてきた。これについて両親が何か言ってくるのは間違いなく、反対することも確実だった。それでもイリアはソラの側にいることを選び、何よりその方が精神的に落ち着ける。
愛している。
それが、イリアの気持ちだった。
「遅いな」
「……寝坊」
「何か、隠しているな」
「遅く寝て……」
昨夜の出来事を必死に隠そうと、ソラは珍しくいい訳を続ける。だが、滅多にいい訳を行わない人物がいい訳を行うと無理が生じ、違和感が強くなってしまう。特に勘がいいユアンはそれを簡単に見抜くが、何があったのか理解したのだろうあえて追求することはしない。