天才に恋をした
陸玖のホンキ

20-1

「サイドが上がったら、桜井が出る。そっから中俣。だから、この場所は絶対開けとく。これを徹底」

「ゥオッス!」



陸玖の指示は的確だ。


放課後の練習。

サッカーが楽しくて仕方ない。

本格的に俺らが主力になったってこともある。

だけど、やっぱり陸玖の力が大きかった。



陸玖が動くと、

みんなが動く。



陸玖が止まると…

「集合!」

「オッス!」

みんな、そっちを向く。




さっき、女子マネージャー達が、陸玖に言ってた。

「先輩、会長選挙に出ると思ってたのに。私、絶対投票しましたよ?」

「キャプテンと倫理委員で充分」

さらりと陸玖が答える。


『無理』じゃなくて


『充分』




胸が重い。



かなわない。

陸玖って男は、別格なんだ。


その陸玖が、なんで…


「苗ちゃん!今、帰るの?」
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