天才に恋をした
陸玖がネット裏に向き直った。

「根拠のないことを言って誰かを傷つけるなら、俺は容赦しない」

「ワザとじゃ…」

「関係ない」


陸玖は揺るがなかった。

「それぞれの学校に通報する」


女共が青ざめる。

ただの脅しじゃない。

外部の生徒は、必ず学校名と名前を記帳させられる。



「あの女の子は、こいつの家族だ。中傷されて、黙ってられるはずがないだろ」

「中傷なんて…」


さっきまで噛みついていた女が、泣きそうな顔で言った。

淡々と話しているのに、すごみがある。


「自分の権利を大事にしたいなら、他人の権利を犯すな」


本当に、泣き出す子が出てきた。


「ここは俺たちの学校で、今は俺たちの練習時間だ。そこに割り込んで、この学校の人間の悪口を言ったり、邪魔をしたりする権利はないはずだろ」


格が違う。

陸玖の一言一言に、重みがあった。



騒いでいた女たちの連れが言った。

「シャレにならなくない?」

「謝ったら…?」




…やってらんねー。




俺は身を翻して、グラウンドを後にした。
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