天才に恋をした
放課後。



することもない。

家にも帰りにくい。



ひさびさに、カフェテリアへ行った。

角田に押し付けられた、沖縄のガイドブックを広げた。



クラスの女子達が寄ってくる。

「真咲くん、珍しい!」

「謹慎になっちゃったんだよね~」

「ハイハイそうです」



一人がガイドブックに目をつけた。



「あ、修学旅行の?」

「そう。角田が、コース決めとけって」



女子たちが目を合わせた。



「ねぇ…真咲くんたち、他に誰と回るの?」

「俺と角田と、中入とか達哉あたりかな」



また女同士、目を合わせる。


「私たちと一緒に行かない?」

「あー…角田たちに聞いてみるけど…」



ふとテラス席を見た。

その奥は、日本庭園になっている。



苗だ…



苗が歩いている。

その隣にいるのは、陸玖だった。
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