天才に恋をした

27-2

空港で解散するとすぐに、苗の元へ向かった。



「帰るぞ」



苗がうなずくより先に、土産物らしい紙袋を持った。

苗より、周りにいるクラスメートが戸惑っている。



「な、苗ちゃんバイバイ」

「バイバイ」

「ヒュー!いいお兄ちゃん持ったね!」



俺はかまわずに言った。


「苗、行くぞ。陽人が家に来てるって」


苗が目を輝かせた。

「陽人くんにね、小さいお茶碗を買ったよ」



陸玖は目も合わせない。

かまわない。

そう思っても胸が重くなった。




「陸玖に留学すること言ったか?」

帰りの電車で苗に聞いた。


「言ったよ…」

苗は眠そうに答えた。
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