天才に恋をした
母ちゃんが腕組みを解いた。

「うーん…苗ちゃんは、真咲の事をどう思ってるの?」


急に話を振られた苗は、ポカンとしたままだ。


「と、いうより…真咲の気持ちを知ってたの?」



姉貴が身じろいだ。

部屋から出るタイミングを失っていたらしい。


「陽子、ナニ?あんた知ってたの?」


「じゃないかな…って思ってただけ」



親父が怒鳴った。


「知ってたって事じゃん!お前、なんでそれを言わないんだよ!」




母ちゃんは、あくまでも冷静だった。

「いつ?」


姉貴に聞いた。


「…先月の終わり」

「じゃあ…あの…風邪…」


それで全員が気づいた。
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