天才に恋をした
ため息が出た。

たぶん、家族全員の口から。



「分かってんだろうな」


親父が言った。


「この『好き』は、男女の『好き』じゃないからな!」



俺も負けずに怒鳴った。


「分かってんだよ!そんなの!」


親父は、真っ赤な顔をして頭を抱えた。

「俺が間違ってた…他人様の娘さんを預かるなんて…同じ歳の息子がいるのに…俺が甘かった…」

「そんなことないよ、お父さん」

姉貴が近づいて慰める。


それでも親父は言った。

「いや、甘かった…俺が間違ってた」
< 162 / 276 >

この作品をシェア

pagetop