天才に恋をした

さすがに、それを言われると心が痛い。


親父は、本心から苗を心配したんだ。

そして、俺を信頼してたんだ。


ふと、陸玖の顔が浮かんだ。



「だいたいヒロさんも変なこと聞かないでよ！」

「大事なことだもん」


親父がうんざりしたように聞き返した。


「なんでだよ…？」

「あなたが母親やってくれって言うから、私は帰ってきた」



母ちゃんの声は、優しかった。


「だから、苗ちゃんの母親代わりとして言わしてもらうよ」


親父が顔を上げた。



「苗ちゃん一人で、留学は無理」