天才に恋をした
ドアの近くに、サンドイッチが載ったトレイがあった。

姉貴が置いていったのか。

家はやけに静かだった。


今、何時?

…11時40分


そりゃハラ減るよ。



夢中で食べた。

カツサンドだ。

俺が好きだから、作っておいてくれたんだろうな。


話し合いは、どうなったんだろう。




トイレに行って、膀胱を空にした。



風呂…どうすっかな…



迷っていると、母ちゃんが二階に上がってきた。


「食べた?」

「食べた」

「お皿、出して」




俺がトレイを持って戻ってくると、母ちゃんが苗の部屋から出てきた。

母ちゃんは口と目をポカンと開いていた。



「いない」

「は?」

「いないんだけど!」
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