天才に恋をした
ヒトリじゃない

30-1

クラス中に連絡網を回してもらって、

家電話をにらみつけてたけど、一時間経っても連絡はなかった。



「連絡ない?」


ミルクをあげ終わった姉貴が下りてきた。



「ない」

「お友達とか、親しい人とか…」

「いない」


俺は首を振った。




―いない―




そのことが、胸に響いた。


苗には誰もいない。



自分に無関心な父親。

思い出のない母親。

今は戸籍の違う…

ハッとして立ち上がった。



「どうしたの?」



玄関に走り、靴をつっかける。



「え!待って!どこ行くの!?」




あ…ヤベ!財布!


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