天才に恋をした
部のミーティングに参加する時間がないので、陸玖が昼休みにやってきた。


「入校して1ヶ月で6階はすごいよ」


すごくない。


俺はフォーメーションの紙に顔を落とした。

もちろん陸玖は、知っている。



「まぁ8階から上は…」

「バケモン集団」




陸玖が手で顔を扇ぐ。

「大学に入ったら、そんなのゴロゴロいるんだろうな」



陸玖なら、何階なんだろう?

全国一位の苗を差し置いて、学内では未だに陸玖が一位だ。



「塾と学内のテストじゃ違うよ。先生の気質も飲み込まないと」

「それは苗には難しいな」

「大学の試験、諮問あるよね?大丈夫かな、苗ちゃん」



問題が解けるだけじゃ通用しない。

それがヨーロッパの大学。




…にしてもだ。




週末の試合で、レギュラーが決まる。

来週の試験で、階が決まる。

再来週のテストで、志望校を絞る。



…ニンゲン、辞めないと無理。

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