天才に恋をした
家にやって来たハルイチ…春一は、羨ましそうにアパートを見て回った。

「良いなぁ。洗濯物干すとこいっぱいある。広いなぁ……うわっ何これ~?テラスあるんだ。一人で住む場所じゃないよ」

「いや、一人じゃない。おーい、苗!」


テーブルにお好み焼きを並べた。


「え?誰かいる?え!?お好み焼き!?泣きそう!」


春一の感情が渋滞の中、苗がのんびりとやって来た。



「これあの…宮崎苗」

「はじめまして」


春一が目を丸くする。


「え、はじめましてだけど…え?イモウト?」

「ツマ」

「ツマ?」

「妻」

「妻!?」


苗が嬉しそうにテーブルを見た。

「お好み焼き」


実は粉ものが大好物と知ったのは、結婚してからだ。


「お、お好み焼き……」

「まぁ、座れよ」


春一は目を見張って苗を見続けたまま、それでもシッカリお好み焼きを口に運んだ。

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