天才に恋をした

42-2

一点集中し出すと、もう苗は止まらない。

こっちが朝飯に呼ぶ頃には、すでに机に向かっている。



いい緊張感の中、筆記試験が始まった。



出来は特別に良いとは思わないけど、

問題の内容に意外性はなかった。

いつも通り、難しかったって感じかな。



春一とシュエは会場が離れていたせいか、

チラッと見かけるだけで終わった。


アイツらも通常運転って感じだなぁ。



筆記試験の結果は翌週になる。

ここをクリアすると、次は諮問試験(いわゆる面接試験)と討論試験だ。



ジタバタしても仕方ない。

でも落ち着かねー!


ちょうど、過ごしやすい季節を迎えていたので、

勉強の合間は、苗と散歩した。


「お父さんは、大きな木にも登ったよ」

「そうなんだ?」

「上と下で、種子の生育がどれだけ違うか見たかったんだって」

「お父さんらしいな」

「その木が州の保護樹木で、レンジャーに注意されたらね、『ご心配には及びません。木登りは昔から得意ですから、怪我などいたしません』って」

「あっはっはっはっは!」



俺も苗もパスした。

春一もシュエも。


苗は全教科満点だった。

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