天才に恋をした
「青春かっ」
と親父は言って、美味そうに茶をすすった。
「苗ちゃんの好きにさせろって言ったのにぃ」
「もう絶対に関わらねぇ。バカバカしい!」
「苗ちゃんには苗ちゃんの人生があるんだからさ」
「もう関わらねぇっつったろ!」
「おせっかい過ぎー」
乃愛が言う。
コイツ、うちの家族のつもりなのか?
図々しいにもほどがある。
かんじんの苗は、やっぱり降りて来ない。
「おせっかいだよね~」
親父が同意する。
「俺は干渉するのも、されるのも大嫌ぇーだ!!」
「じゃあ、なんでそんなに怒ったんだよ」
「アイツが恩知らずだからだろ!みんな、アイツのためを思って色々やってやってんのに『幸せなんかいらない』って、どーなんだよ!?」
親父は呆れたように言った。
「今のとこ、苗ちゃんの幸せを本気で考えてるのはお前一人だぞ」
「わっ私!私も考えてるよ!」
乃愛が顔色を変えた。
親父が言う。
「真咲ほどは考えてないよ~」
「え。考えてる。私、考えてる!」
「俺は、考えてねぇって!」