天才に恋をした
「出てけ。もう二度と来るな」
俺は、乃愛から目を反らさずに言った。
乃愛は冷たい色の目で、上目づかいに俺を見返した。
「それって、ひどくない?っていうか、どういう意味?」
逃げるな。
もう自分から逃げるな。
「俺の妹にさわるな」
ポカンとしていた苗が、初めて身じろいだ。
メガネがずり落ちる。
こんな時でもマヌケなヤツ…
その奥から、まん丸い目が俺を見ていた。
なんとなく目を反らした。