天才に恋をした
「めっ…飯のっ…」

くそっ…!

マジで腹が…っ


「あっはは…!」

涙目で苗を見た。


あ。


笑ってる。


苗も笑っていた。



くすぐったそうに、

首をかしげて。


だけど明らかに、

「あはははは~」と

声に出して、

歯を見せて、


笑っていた。



気がつくと、自分の手が苗に向かって伸びていた。

頬を触り、髪をなでた。




何やってだ、俺は…




苗はまだ笑っている。



意志を総動員して、手を下ろした。

「メシ。メシ温めて」



無理やり、苗から顔を反らした。
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