天才に恋をした
「苗ちゃん、学校ではどうなの?」

下の兄貴が聞く。



「どうって?」

「うまくやってんの?」

「やってんじゃん?」

「友達と遊んでる感じしないけどな」



友達はいるけど、遊んではないな。

苗は、半径1メートルで起こってることすら興味がない。



「苗ちゃんは天才なんだから、いいの!」

と親父が、かばう。



「え~。だって彼氏とかさ…」

「彼氏!?」

親父と俺、同時に叫んだ。



「彼氏はナイ!」

「彼氏はイラナイ!」



上の兄貴が呆れたように言った。

「陽子の時より、重傷だな…」



姉…陽子が風呂から上がってきた。


「何ぃ?悪いウワサしてる?」

「陽子が結婚する時も2人で騒いでたっけねってハナシ」


母ちゃんが鼻で笑う。

「この人は陽子が『ワタシ結婚なんかしな~い。ずっとお父さんと暮らすぅ』って言うのを信じてたんだから」

「真咲だって、泣いて不登校になったよな?」

「なってねーよ!」
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