天才に恋をした
キチョウな時間

18-1

帰ってこねーな。

親父から、苗の話を聞きたいのに。



もう寝よう。

苗も寝たみたいだし。



朝、リビングに降りると母ちゃんが、飯をテーブルに並べていた。


「昨日、何時に帰って来た?」

「遅くなっちゃった」


それだけだった。



母ちゃん、疲れてる。

珍しいな。



変な話だけど、今朝の母ちゃんは大人みたいな顔してる。


「親父は?」

「もう出かけたよ」


やけに早いな。

そして、やっぱり母ちゃんが変だ。



「親父に聞きたいことがあるんだけど」

「今度の日曜日、なっちゃん誕生日でしょ」

「ああ…」

「その時に聞いたら?」

「あ…うん」



苗の話だから、苗がいない方がいいんだけど…

なんだろう?

言い出せるような雰囲気じゃない。

何かあったのかな…
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