そんな恋もありですか?
クローズして、アルバイトの子たちが引き揚げていく。
あゆはやれやれとイスに座りエプロンをほどいた。
連日の慣れないたち仕事で、
身も心もボロボロだ。
やっと今日で2週間め、
折り返しとはいえ、
後2週間もこんな生活が続くと思うと、
うんざりした気分になる。
ふくらはぎが浮腫んでパンパンで、
ため息交じりにごしごしとさする。
「結構図太いなあんた」
あゆは、
その声の主が誰か判ってあわてて立ち上がった。
「きゃっ」
掃除したばかりの床が滑って、
転びそうになった。
「ドジ」
抱きとめられる形となってしまう。
「す、すみません」
「悪いな」
「え?」
「バイトに2人も辞められて、
人手が足りないから、
素人だってわかってんのにこき使って」
「座って」
さっき座っていた椅子を指差されて、
また怒られるのだろうか?
あゆは、ドキドキしながら座った。
「貸してみろ」
膝まづいて差し出された手にまどって、
ポカンとしていると、
守田は、徐に足をつかみ
足首から上の方へ、さすり始めた。
「ひっ!
ちょっと何を!」
あわてて引っ込めようとした足をぎゅうっと引っ張られて
「筋肉疲労はな、
こうやってたまってしまった疲労物を
心臓の方へ戻してやると、
次の日まで残らないんだ」
「や、ちょっといいですってば」
「気にするな」
「気にするなって言われても」