ほろ苦いキミのkiss【壁ドン企画】
「私、コーヒー淹れてくる」
「うん、行ってらっしゃい」
西澤さんに、そう言い残して席を立つ。
コーヒーを淹れて社員に配るのも新人社員の仕事。
今年入社した社員は全部で5人だ。
コーヒーを淹れる時間は決まっていて、5人で回している。
そして、ランチ前のこの時間の今日の担当は私だ。
オフィスとは少し離れた給湯室へコーヒーを淹れに行く。
ブラックを好む人もいれば、砂糖やミルクをたっぷり入れる甘党の人もいる。
ましてや、コーヒーを飲まない人もいる。
これらを暗記して、それぞれの好みのものを淹れ配る。
好みを暗記したのはつい最近だ。
すべてを暗記するにはこれまで時間がかかってしまった。
全員分を入れ終わると、オフィスに戻り配っていく。
役職に付いている上司は、オフィスとは離れた別室だ。
温度を気にする人もいるため、熱いものを好んでいる人には先に配っていく。
「お疲れ様です。コーヒーをお持ちしました」
「ああ、ありがとう」
これが決まり文句。