ほろ苦いキミのkiss【壁ドン企画】
―――ドンッ
静かな廊下に鈍く大きな音が響き渡る。
そしてすぐにピチャっという液体の音とカランとモノが落ちる音がした。
液体の音はきっとコーヒー。
モノの音は、おぼんとコーヒーカップの落ちる音。
何が一体起きたのか……
後ろは冷たい廊下の壁。
前はブラックコーヒーの匂いがするスーツ。
咄嗟の事に転ぶ、そう思ったのか目の前のそのスーツを纏ったモノに腕を回して、ガッシリと掴んでいた。
「あ………っ!」
そのモノに気がつくのが少し遅かった。
幸い、ここは角を曲がった先。
この先は櫻木さんのオフィスしかなく、滅多に人が来ることはない。