花と死(前編)
愛おしい女。
食欲魔人だと笑いながらも料理を作ってくれるひと。
(そういえば昔はそんなこと言われていたか。)
今とは真逆のことに思い耽る。
(何を考えている。別に、失うことは初めてではないだろう。)
それでも、面影が消えない。
それだけ、今はなき日々が愛おしかったのか。
喪ったものの面影にヴォルフラムは眉を寄せる。
最愛を失い続ける運命。
隣に居る彼女も、いずれは……
(それは、今ではない。)
そう自分を取り敢えず誤魔化した。
やがて、先にクラウジアは食事を終えた。
シエリアはサラダをおかわりしに行っている。
「サラダはおかわり自由だからといって……何杯目?」
「6、だな。」
エリミアとクラウジアは唖然としている。
「7だよー!」
シエリアは無邪気な笑みを浮かべた。
「店中の野菜を根こそぎ食べる気か。」
「やさい、おいしー!」
「たんとお食べ。」
クラウジアへの答えにエリミアは遠い目をした。
そんなことを他所にヴォルフラムはオムライスを完食した。
「な……んだと!?」
クラウジアは衝撃を受けている。
「フランが残さず食事をっ……!」
「ウー!」
「やはり、この人間には食欲増進作用が……」
「ガヴゥー!!」
“違う”と否定するヴォルフラムに構わず、クラウジアはメモをしている。
驚いているのは、当人もだ。
エリミアに初めて会った時は吐き気がした。
今だって、気持ちが悪い。
だが、不思議と吐き気は既にない。
それは、暖かい日々を思い出した所為だろう。
(それも、いずれは……)
何度も思ったその先をヴォルフラムは閉ざした。
(やめろ。)
今ではない。
(思い浮かべるな。)
思えば、早まっていく気がする。
『貴様は、戻りたいのか?』
何度も問われる質問が過ぎって、息を飲んだ。
「……フラン?」
クラウジアは不思議そうにヴォルフラムを見た。
「どうした?吐きそうか?」
背中をさすりながら、ヴォルフラムの目を覗き込んだ。
恐怖感を拭えないままで、ヴォルフラムは首を振る。
「ら……くら、ら。」
微かに、そう呼ぶ。
その声にクラウジアは不安定さを感じて、ヴォルフラムを抱き締めた。
「私は此処に居る。」
言い聞かせるように、何処にも行ってしまわないように。
そう言って、不安から解放されればいい。
そのためなら、何度でも言ってやる。
食欲魔人だと笑いながらも料理を作ってくれるひと。
(そういえば昔はそんなこと言われていたか。)
今とは真逆のことに思い耽る。
(何を考えている。別に、失うことは初めてではないだろう。)
それでも、面影が消えない。
それだけ、今はなき日々が愛おしかったのか。
喪ったものの面影にヴォルフラムは眉を寄せる。
最愛を失い続ける運命。
隣に居る彼女も、いずれは……
(それは、今ではない。)
そう自分を取り敢えず誤魔化した。
やがて、先にクラウジアは食事を終えた。
シエリアはサラダをおかわりしに行っている。
「サラダはおかわり自由だからといって……何杯目?」
「6、だな。」
エリミアとクラウジアは唖然としている。
「7だよー!」
シエリアは無邪気な笑みを浮かべた。
「店中の野菜を根こそぎ食べる気か。」
「やさい、おいしー!」
「たんとお食べ。」
クラウジアへの答えにエリミアは遠い目をした。
そんなことを他所にヴォルフラムはオムライスを完食した。
「な……んだと!?」
クラウジアは衝撃を受けている。
「フランが残さず食事をっ……!」
「ウー!」
「やはり、この人間には食欲増進作用が……」
「ガヴゥー!!」
“違う”と否定するヴォルフラムに構わず、クラウジアはメモをしている。
驚いているのは、当人もだ。
エリミアに初めて会った時は吐き気がした。
今だって、気持ちが悪い。
だが、不思議と吐き気は既にない。
それは、暖かい日々を思い出した所為だろう。
(それも、いずれは……)
何度も思ったその先をヴォルフラムは閉ざした。
(やめろ。)
今ではない。
(思い浮かべるな。)
思えば、早まっていく気がする。
『貴様は、戻りたいのか?』
何度も問われる質問が過ぎって、息を飲んだ。
「……フラン?」
クラウジアは不思議そうにヴォルフラムを見た。
「どうした?吐きそうか?」
背中をさすりながら、ヴォルフラムの目を覗き込んだ。
恐怖感を拭えないままで、ヴォルフラムは首を振る。
「ら……くら、ら。」
微かに、そう呼ぶ。
その声にクラウジアは不安定さを感じて、ヴォルフラムを抱き締めた。
「私は此処に居る。」
言い聞かせるように、何処にも行ってしまわないように。
そう言って、不安から解放されればいい。
そのためなら、何度でも言ってやる。