花と死(前編)
ヴォルフラムはそのままで抱きしめ返すことも突き放しもしなかった。
少し、唸り声が聞こえるくらいで受け答えとなる声を発しない。
「だいじょうぶ?」
シエリアも心配そうにしている。
「嫌なことでも思い出した?」
エリミアは苦笑しながら言う。
「そんなところだ。」
クラウジアはそう言いながらヴォルフラムの頭をぽんぽんと撫でる。
少しの沈黙があった。
「……ねぇ、気になってるんだけど。」
ヴォルフラムを見てエリミアは問う。
「嘗て、軍の特攻部隊……今は特攻部隊は無いけど。そこに貴方と同じ名前で同じ姿の人がいるの。……もしかして、血筋の人?」
その問いに驚いて、ヴォルフラムは目を見開いた。
そして、首を振る。
「——アリシア。」
思い立ったように立ち上がり、ヴォルフラムはふらりとエリミアの目を覗き込み、牙を剥いた。
「そうならば、殺さなければ。今すぐに、だれにもとられるまえに。」
低く、虚ろに、呟く。
「だが、そうではない。貴様を愛することは、ない。いや、あったとして、同じでない。信じない。」
何かに抗うように奥歯を噛み締めた。
「フラン。何を考えている。落ち着け。」
クラウジアはヴォルフラムを窘め、自分の腕の中に引き寄せた。
ヴォルフラムは抵抗する様子もなく、虚ろにエリミアを見つめるだけだ。
「前世」
エリミアは確信めいたように言った。
「——!!」
その言葉にヴォルフラムはエリミアを睨んだ。
エリミアは臆することなく、微笑んだ。
「アリシアという女の人と死んだヴォルフラムという吸血鬼。それが、貴方ね?」
「何故、そう言い切れる。」
「だって、偶然にしては同じ顔で同じ髪で同じ姿だなんて出来すぎてるから。」
エリミアは笑った。
その笑みが何度も嘲笑う女と重なる。
『もう1度、思い出させてあげる。』
面影が嗤う。
『貴方に、居場所なんてないのよ。』
永久の孤独、奪われ続ける悲劇。
何度も、何度も、愛し、奪われ、愛する。
(気のせいだ。)
そう、自身に言い聞かせた。
「なんて、まぁ、前世や転生だなんておとぎ話と馬鹿にされるけれど。まさか、本当にそうだなんてびっくりよ。」
へにゃっと笑ってみせた。
「そんな怖い顔しないで。」
その笑みで面影が消えた。
ヴォルフラムは唸る。
「そうだ。第一、偶然転生した者に会ったくらい何だという。」
少し、唸り声が聞こえるくらいで受け答えとなる声を発しない。
「だいじょうぶ?」
シエリアも心配そうにしている。
「嫌なことでも思い出した?」
エリミアは苦笑しながら言う。
「そんなところだ。」
クラウジアはそう言いながらヴォルフラムの頭をぽんぽんと撫でる。
少しの沈黙があった。
「……ねぇ、気になってるんだけど。」
ヴォルフラムを見てエリミアは問う。
「嘗て、軍の特攻部隊……今は特攻部隊は無いけど。そこに貴方と同じ名前で同じ姿の人がいるの。……もしかして、血筋の人?」
その問いに驚いて、ヴォルフラムは目を見開いた。
そして、首を振る。
「——アリシア。」
思い立ったように立ち上がり、ヴォルフラムはふらりとエリミアの目を覗き込み、牙を剥いた。
「そうならば、殺さなければ。今すぐに、だれにもとられるまえに。」
低く、虚ろに、呟く。
「だが、そうではない。貴様を愛することは、ない。いや、あったとして、同じでない。信じない。」
何かに抗うように奥歯を噛み締めた。
「フラン。何を考えている。落ち着け。」
クラウジアはヴォルフラムを窘め、自分の腕の中に引き寄せた。
ヴォルフラムは抵抗する様子もなく、虚ろにエリミアを見つめるだけだ。
「前世」
エリミアは確信めいたように言った。
「——!!」
その言葉にヴォルフラムはエリミアを睨んだ。
エリミアは臆することなく、微笑んだ。
「アリシアという女の人と死んだヴォルフラムという吸血鬼。それが、貴方ね?」
「何故、そう言い切れる。」
「だって、偶然にしては同じ顔で同じ髪で同じ姿だなんて出来すぎてるから。」
エリミアは笑った。
その笑みが何度も嘲笑う女と重なる。
『もう1度、思い出させてあげる。』
面影が嗤う。
『貴方に、居場所なんてないのよ。』
永久の孤独、奪われ続ける悲劇。
何度も、何度も、愛し、奪われ、愛する。
(気のせいだ。)
そう、自身に言い聞かせた。
「なんて、まぁ、前世や転生だなんておとぎ話と馬鹿にされるけれど。まさか、本当にそうだなんてびっくりよ。」
へにゃっと笑ってみせた。
「そんな怖い顔しないで。」
その笑みで面影が消えた。
ヴォルフラムは唸る。
「そうだ。第一、偶然転生した者に会ったくらい何だという。」